サウスバウンド (impression)
サウスバウンド 2007年/日本
監督:森田芳光
(画像はプログラムをSCAN)
ポッカリと日溜りの薫りのする、そんな大人のファンタジー!!
プライベートで映画館に出向くの、なんか久しぶりだナァ。映画を扱う仕事しだしてから、かえって自分では観に行かなくなってしまって。でも、いい映画を映画館で観るって、やっぱいいよね。
南先生役で出演してる村井さんのファンだし、森田監督の新作だし、新しく出来た「シネカノン有楽町2丁目」もチェックしたいし、で、ほんと行ってよかったよ。
かつて、全共闘時代に活動家だった夫婦とその子供たちを巡るお話。
ところで、学園紛争が華々しかった当時、子供の私は新宿の近くに住んでたもんだから、しょっちゅうヘルメットかぶった学生さんと、機動隊のもみ合いを間近にしてた。あの頃、判官贔屓の庶民たちはけっこう学生さんの味方だったと思うが、私もコドモながらにシンパだった。だって、悪い権力に立ち向かうヒーローに見えたもの。小学校の卒業の寄せ書きに「学生運動家になりたい!」って書いた記憶がある(さぞや先生たちは、頭痛かっただろうな ^ ^; )。けれど、社会は変わらなかった。あこがれの学生さんたちは、革命戦士から何事も無かったように企業戦士へと転身...。変わったのは、歩道の敷石だけ(投石用に学生が敷石を剥がしたので、アスファルトで塗り固められてしまった)で、社会の方は言うまでも無く、良くなるどころかもっともっとインチキなものになってしまった。
そんなことを思い出しながら、この映画観たものだから、末の女の子が「うちのお父さんは元過激派でアナーキストなの」と誇らしげに宣言するシーンに、なんかジーンとしてしまった。おもえば、このお父さんのように純粋に不正を憎んで活動していた人たちは、当時どれほどいたんだろうか。そんな人たちばかりだったら、あの様な党派同士の内紛とかつまらない事件(この映画の中でもお母さんが、かつて内輪もめに巻き込まれたみたいだけど)は起こらずに、もうちょっとマシな別の世の中があったかも。
でもねだからこそ、この映画は、どこまで行ってもオトギ話でしかない。反対に言えば、郷愁のユートピアなオトギ話として、とってもキュートに映るというのは、私たちがインチキでオカシな現実(パイパティローマは遥かに遠い)に生きているからだろう。
けど、ちっとも深刻でなく、ポッカリと明るい日向のような映画です。
「そんなバカな」的なありえなさも許せちゃう魅力が、不思議な間や、気持ちのいいフワフワ感に満ちている。ちょっとウザイけど素敵なお父さん、それを徹底的に支持するお母さん、お父さんをウザク思いつつも共感しちゃうカワイイ子供たち、もちろん、ちょっとズレてるけどとても善良な南先生も、みんな好演です。なかでも、家族とは距離を置きつつ冷めているようで、実は熱い長女を演っている北川景子さん(テレ朝「モップガール」主演中)が、よかったな。
それから特筆したいのが、撮影の沖村志宏氏。にっかつ撮影所に入社し、前田米蔵作品や森田監督『(ハル)』『海猫』の撮影助手をつとめ、今回が初撮影とか。いまや若手では貴重な撮影所育ちとあってか、その奇をてらわないオーソドックスな安定感ある画が好感持てました。
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