THE BEE (Japanese Version)
THE BEE (Japanese Version)
5月3日 水天宮ピットにて
http://www.nodamap.com/productions/thebee/index.html
“見立て”の跳躍する圧倒的速度
犯罪現場の規制線に見立てたゴムひもが、
TVクルーのカメラやマイクへと瞬時に変わり、
舞台に敷き詰められたボール紙も
壁や扉、封筒などへと目まぐるしくメタモルフォーゼしてゆく。
人質の子供の切り取られ折られる指は、
先ほどまで鉛筆であり、箸であった。
しかしいまや、暴力の形見としておぞましい質量を持つ。
目まぐるしく見立てが変わるのは、美術ばかりではない。
刑事がシェフに。
犯人の男は、人質の子供へ。
そして女性警官はリポーターから犯人の妻へと入れ替わる。
けれどただ、野田が演じるサラリーマンだけは、その役柄を変えることは無い。
善良な一市民が、その家族を人質にとられた対抗策として
自ら立てこもり犯となり狂気へと変貌する以外には…
この舞台に対する、大方の解釈がそうであるように、
暴力の連鎖や報復の無意味さ、
あるいは善と悪との裏腹さなどなど
たしかにここにはあるのだろう。
だが、そんな浅薄な解釈などは、到底追いつけぬほどの
“見立て”のヘンゲする速度に、ただただ圧倒されるしかない。
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